【執筆の裏側】第1話:突然届いた1通のメール
始まりは、2022年11月17日に届いた1通のメールでした。
いつものように仕事をしていると、Codejumpのアドレス宛に1通のメールが届きました。お問い合わせか何かかなと思いながらメールをみると、「技術評論社」と名乗る方からのメールでした。
縁もゆかりもない会社名に少し戸惑いながら、恐る恐るメールを開いてみました。するとメールの中には、「本を執筆しませんか?」というような内容のことが書かれていました。
まさか出版社から自分の所に執筆の相談がくるとは思っていなかった私は、迷惑メールか何かだと思いすぐにゴミ箱に捨てようとしました。しかし、返信先のメールアドレスを確認するとどうやら本物のドメインのようです。
私は勇気を出して返信してみることにしました。少しだけ話しを聞いてみて怪しければ断ればいいか、くらいの軽いノリです。
するとすぐに返信がありました。
「一度オンラインでお話をしましょう」ということで、さっそく翌週打ち合わせをすることになりました。もちろん、この時点ではまだ半信半疑です。しかし、まずは話を聞いてみないことには何も分からないため、はやる気持ちを抑えながら打ち合わせの日を待つことにしました。
そして迎えた当日。
打ち合わせに現れたのは、メールをくれた技術評論社の編集者さんでした。今回の趣旨を簡単に説明してくれた後、書籍ができるまでの流れや、執筆の進め方などについて詳しく説明してくれました。
ちなみに、本が出来上がるまでの流れはざっくりとこんな感じです。
- 企画
- 目次作成
- 本編作成(サンプルサイト、解説、図など)
- DTP
- 校正(3回くらい)
- 印刷
- 発売
この中で著者がメインで担当するのが、「目次作成」「本編作成」「校正」の3つです。
「企画」は編集者さんと一緒に進めますが、企画の方向性自体は出版の話をいただいた時点である程度決まっていたのと、最終的に企画書を作成するのは編集者さんなので、著者のメインはやはり「本の中身」を作ることです。
1時間ほど話をした後、執筆をするかどうかについて後日お返事をするということで、その日の打ち合わせは終了しました。
打ち合わせを終えての率直な感想としては、「わくわく感」と「不安感」が入り混じっているような感じでした。おそらく、書籍出版というものへの憧れと本当に仕事をしながら膨大な量の原稿を書ききることができるのかどうか、という思いが混在しているような感じだったと思います。
実は、打ち合わせの際にも編集者さんから聞いていたのですが、技術書は受け取る金額、いわゆる印税に対して作業量が大きいため、正直儲かるようなものではないとのことでした。
ちなみに、この記事を書いている現時点ではすでに執筆は完了しているのでその意味はよく分かります。しかし、当時は「執筆って大変なんやな〜」くらいのまるで他人事のような感想しか持っていませんでした。(この軽い気持ちで執筆を始めたことで後に大変なことになるのですが、それはこの後の話の中でおいおい触れていきます。)
ここで「印税」の話が出たので、参考までにお金の話にも簡単に触れておきたいと思います。色々な決まりもあり具体的な金額をお伝えすることはできないので、今回の執筆が時給に換算するとどのくらいかでお伝えしたいと思います。
印税の計算は、一般的には書籍の金額と発行部数をもとに行います。この計算で出た金額をトータルの執筆時間で割ることで、おおよその時給を算出することができます。
この計算で私の時給を算出してみたところ、
およそ500円くらいでした。。(涙)
なんと、悲しいことにアルバイトの最低賃金を大幅に下回ってしまいました。
こんな話をしてしまうと技術書の出版に対して夢も希望もなくなってしまうので一応フォローしておきます。
今回の書籍では原稿を書く作業とは別に、書籍内で使用するためのサンプルサイトを6個作成しました。実は、このサンプルサイトの企画〜作成にかなり時間がかかっており、そこが全体の作業時間を上げる結果になってしまいました。
それと、この時給はあくまで初版で受け取る印税から計算した金額です。なので、本が売れて増版になった場合はもしかしたら時給1,000円くらいまでアップするかもしれないので、皆さんぜひ買ってくださいね!
そんなこんなで、「書籍出版」という魅惑的な言葉に惑わされ、これから始まる執筆という膨大な作業のことはなかったこととして目をつぶり、編集者さんに快諾の返事をするのでした。
そしてここから、想像もしなかったような壮絶な2年間がスタートしていくのでした。