【執筆の裏側】第6話:苦悩と絶望

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2024年1月

執筆開始から約1年が経とうとしていた頃、第3章まで書き終えた私はまるでフルマラソンを走り終わった後のような達成感と疲労感に包まれていました。

これで終わりならどんなに楽だろう。

そんなことを考えながら、まだ道半ばにも到達していないことを思い出し、重い体に鞭を打ってすぐに4章の執筆に戻ります。

4章もまずはサンプルサイトのデザインから始めます。4章は複数レイアウトをテーマにした練習課題です。実際のサイトでよくある、シングルカラム、2カラム、グリッド、ブロークングリッドといった定番のレイアウトが一通り学べるようなサンプルサイトです。

企画書を再度見返しながら、サイト全体の構成を考えていきます。ワイヤーフレームを作っては消し作っては消し、ベストな学習サイトを求めて何度も何度も構成を練り直します。

通常はこの作業を何度か繰り返すことで、少しずつ前に進みながら形にしていきます。しかし、今回は何度繰り返しても全く前に進みません。

Codejumpで何十個も学習用のサンプルサイトを作ってきた私は、ある程度この作業のコツを心得ていました。いつもなら、最初は全く先が見えていない状態でも、そろっている要素を組み合わせながらイメージを膨らませていく内に、少しずつ形ができてくるのです。

しかし、今回は何度練り直しても全く形が見えてきません。

私は焦りました。

執筆に集中するために大半の仕事をストップしていたので、その間収入がほぼゼロになっていたからです。仕事をせずに執筆が進まないまま、ただ時間だけが過ぎていくことに恐怖を覚えました。

現時点でこんな状況なのに、これでまだ半分も終わっていない。これから何ヶ月もの間、仕事をストップしたまま本当に執筆を進めていけるのだろうか?

しかも順調に進めば良いが、今回みたいに何も前に進まないまま立ち往生してしまったら。もしその状態が1年も続いたらどうなるのだろう・・・。私は最悪の事態を想像しながら絶望的な気持ちになりました。

しかし、もう後戻りはできません。ここで辞めてしまったら、これまで執筆作業にかけてきた膨大な時間が全て水の泡になってしまいます。

それに、何より一番怖かったのが、決意して始めたはずの執筆を最後までやり遂げることができないことで、心の中に一生消えない傷ができてしまうような気がしました。

だけどまだ半分も終わっていない・・・。

これから今まで登ってきた山よりもさらに高い山を目指すなんで、肉体的にも精神的にもそして何より収入的にも本当にできるのか不安でたまりませんでした。

降りることはできない。だけど進むのも怖い・・・。

まるでエベレスト登山の最中、山の中腹で食料や装備を取り上げられた状態でただ1人取り残されているような感覚でした。

しかし、悩んでいる暇はありません。

こうしている間にも、時間は刻一刻と流れ続けています。

執筆作業は止まったまま。

このままでは一番最悪な状況になってしまうのは目に見えていました。仕事もせずに止まったままの原稿を見つめながら、何日もの時間が経過していきました。

時間も限界に達し、いよいよ決断しなければなりません。

やめるか、続けるか。

私はそれぞれの道を天秤にかけることにしました。このまま続ける場合の先の見えない「恐怖」と、やめた場合の「後悔」です。

もちろん、答えは最初から決まっていました。

”やめる” という選択肢は最初からありませんでした。

ただ、ここからさらに高い山を登るためにも、ここで固く決意しておく必要がありました。

私は今回の執筆を最後までやり遂げることを改めて固く誓いました。

そして、止まっていた4章のサンプルサイト制作に再び着手しました。

次回に続く

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